カンボジアで見た一つの合流点
だいたい一月ほど前、カンボジアへ旅行をした。
カンボジアといえばアンコールワットが有名なので、カンボジア旅行といえばアンコールワットのあるシェムリアップを思い浮かべる人も多いかもしれないが、僕が行ったのはプノンペンだ。
プノンペンはカンボジアの首都で、成田空港から直行便も出ているので馴染みはないが旅行するには便利な場所だ。
ちなみにウィキペディアによるとカンボジアの人口は約1500万人で、その内プノンペンの人口は約220万人とのことだ。
個人的には思ったよりも大きい国なんだなと感じる。
さて、僕がプノンペンに行ったとき、全く意図していなかったのだが、ちょうど中国の旧正月の時期と重なっていた。
もちろん行くのはカンボジアなので、旧正月のことなど全く頭になかったのだが、プノンペンに着いてから今は旧正月なのかと気づくととなった。
プノンペンを歩いていると妙に赤い提灯が目に入ってくるのだ。
街中が真っ赤というほどではないが、中国系ホテルや中華料理屋の軒先にはまず間違いなく旧正月を祝う赤提灯が飾ってあった。
また、プノンペンには漫画のAKIRAの世界さながらに大きなビル群が立ち並ぶエリアがあるのだが、そのビルの側面に取り付けられた電光掲示板も真っ赤に彩られていた。
細かい事実は調べていなが、これらの赤提灯からカンボジアには中国のお金が思いもよらないほど流れ込んでいるのだろうということが分かる。
カンボジアの現地人はもちろん中国人ではないため、提灯を飾ったりはしないのだが、中国系のホテルなどがプノンペンには多くあるので赤提灯が目立つのだ。
これは2つの点で面白いと思う。
カンボジアの首都の至るところにホテルや中国料理屋を立てるほど中国のお金が入ってきている点と、自分の国でもないのに赤提灯を堂々と掲げている点だ。
紀元前から戦争をひたすら繰り返し、奪い奪われを続けてきた中国大陸の人間たちは、21世紀の今の時代、経済やお金の力で東南アジアに手を伸ばしているのだ。
これはカンボジアは発展できるチャンスを得るし、中国は経済圏を拡大できるしお互いに利益があるのだろう。
また、赤提灯をあからさまに掲げるのは別に支配しに来たことを見せつけるためではなく、中国からカンボジアに来ている人たちに分かりやすくしているためなのだと思われる。
お金をたくさん持ち始めた中国人がすることは何かと考えれば、旅行が選択肢にあるのは間違いないだろう。
そして、中国から近い東南アジアのカンボジアはその候補地の一つになる。
旅行慣れした人やバックパッカーならいざ知らず、海外旅行経験が少ない人ならきっと自国に接点のあるホテルを宿泊先に選ぶと思われる。
つまり、カンボジアにある中国系のホテルがターゲットにするのは中国人旅行者なので、旧正月に旅行をする中国人に向けて赤提灯を出すことで一緒にお祝いムードを出すのは何も変なことではないのだ。
また、旧正月とは別に、カンボジアで面白いと感じたことがある。
それは、カンボジアでは米ドルが流通していているということだ。
カンボジアにも自国通貨が存在するのだが、米ドルが一般的に用いられているのだ。
僕自身も現地滞在中は、ほぼ米ドルを使って過ごした。
これも細かいとこは知らないが、おそらく現地通貨が弱く、米ドルの方が信頼性が高いため使用されているのだろう。
カンボジアが今後発展していった場合は、いつまでもアメリカという遠く離れた国の貨幣に頼り続けることはできないだろうから、きっと別の通貨に切り替えるタイミングがくると思う。
それが自国の通貨か、中国元か、はたまたビットコインのような全く新しいお金かは誰も知らないが。
日本人から馴染みの薄い東南アジアの国では、現地文化に中国マネーに米ドルなど色んなものが混ざり合っているようだ。
ちなみにカンボジア自体は仏教の国だが、フランスに支配された過去ももつ。
今後ももっと多くのものが飛び込んできては混ざり合っていくのだろう。
どのように変化していくかとても楽しみだ。
ちなみに仏教も結局のところ外国からやってきたものだが。